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もう一つの高校入試物語
2020-03-17
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「前期選抜不合格!それも俺だけ・・」そんなダメージと自己嫌悪感に襲われたY君だった。しかも数日後の学校でのマラソン大会で膝を骨折!靴紐がほどけて、もう一つの足で紐を踏んでしまったのが原因だった。塾にも来れない状態になってしまった。弱り目に祟り目で肉体的にも、精神的にもボロボロだったと思われた。父親、母親、祖父母にも会って、Y君の状態を聞いて手紙を書いて届けた。「頑張ろう!」の言葉がどれほどの力になるのか? いやかえって押し付けになっていないか? ありきたりの言葉は今の彼にはゴミのようだと自問自答した。この事態を一人で、家族で背負うのは酷だと思った。そこで講師を派遣する家庭教師を提案した。しかしどうも気力が出ない様子で回答はなかった。後期選抜を控える他の塾生もいるため、これ以上Y君に割く時間もない状態だった。塾として何もできない・・。申し訳なく後ろめたい気持ちでY君の足の快復と心の快復を祈るしかなかった。
3月になり、ある程度他の塾生の仕上がりも良くなってきたので、Y君の自宅へ出かけた。いつものお父さんが快く出迎えてくれて、Y君とも会えた。足も一人で歩けるようになり、血色もよくニコニコして「だいぶ良くなりました。面接の練習もしています。」と言ってくれた。僕は「前期での反省で、後期の面接では元気に自分の思いの丈をぶつけて来い!」と伝えた。彼は嬉しそうにしてくれた。
3月17日塾生から報告を受ける中、どうしても心配なY君が僕の心の中にあった。午後に「先生、合格しました。」とY君より電話があった。「面接はできるだけの大きな声で、言うべきことは言いました。ペーパーはいつもの感じでした。」とのことだった。あきらめかけて、葛藤した中でよく耐え抜いてここまでたどりついてくれた。 後ほどお父さんへ電話でご挨拶をした。「塾として何もできなくて申し訳ございませんでした。 でもあきらめないで、Y君を信じて下さってありがとうございました。この経験がまた次の山を乗り越える糧になるので、ご家族でずっと信じてあげて下さいね。」と(伊賀白鳳高校 後期選抜合格)